Sam Yahel / From Sun to Sun

2011/09/03

Sam Yahel (p,organ)
Matt Penman (b)
Jochen Rueckert (ds)
Rel: 2011 Origin Records 82596
Recorded May 23th&24th,2010 at Acoustic Recording,Brooklyn,NY


オルガン・ピアノの両刀遣いSam Yahelのトリオ構成での新作。

メンバーは2009年Posi-Toneレーベルからの"Hometown"と同じ布陣。前作もなかなか味のある作品だったけど、似たような曲が続いたりで、作品としての完成度という点で個人的には成長の余地があると思っていただけに、とても楽しみにしていた新作。今作、Yahelはピアノのほか本職(?)のオルガンも演奏していることになっている。
全13曲で、オリジナルが10曲・スタンダードが3曲(#4,#11,#13)。
しょっぱなはPenmanのパーカッション的な演奏からはじまるベースソロからスタート。メリハリがあってコクのあるフレージングだ。ついでYahelが美しくも味わいのあるフレーズを弾き、Rueckertの手数の多いシンバルがかぶってくる。なかなか味わいのあるメロディで、Yahelの作曲能力は高いモンがありますね。2曲目は出だしパーカッシブなピアノ(ベースか?区別つかない)から、ピアノソロと雰囲気作り程度にオルガンがはいる小品。続く3曲目は三位一体で突き進むモーダルな曲。Penmanが強烈にリズムを推進しつつYahelのモーダルなフレージング、Rueckertの小刻みなシンバル&ドラミングがバッチリきまっている。イケてますがな。続くスタンダード"A Beautiful Friendship"は一転してバラード。温かみのあるメロディにRueckertのブラシがなんか新鮮。今回興味のあったYahelのオルガンはとりたてて前面にでているわけではなく、ちょいと効果音的に使っていたり、タイトルトラックや#7だけはソロがはいっているくらいで、基本はピアノトリオ作品といっていいでしょう。
とまあ13曲もあるので、以降ざっくり割愛(ひどい!)してしまうけど、前作の欠点と感じていた曲と曲の相関が、今作では素晴らしくよくできていて、同じようなモーダルな曲でもやけに新鮮に感じることができて作品全体として美味しくなっている。それと#2や7のような野球で言う中継ぎのような曲が効果的に使われていたり工夫してると思う。

そしてまたしてもJames Farberの手によるレコーディングで、特にPenmanとRueckertの演奏はさらに魅力ある音になって、こちらに届いてくれて嬉しい。これは愛聴盤にナル予感・・・。


Tracks
1. 2 Pilgrims
2. After The Storm
3. Saba
4. A Beautiful Friendship
5. One False Move
6. From Sun To Sun
7. Blink And Move On
8. Toy Balloon
9. By Hook Or By Crook
10.Git It
11.So In Love
12.Prelude
13.Taking A Chance On Love

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