Aaron Goldberg / Home

2010/05/08

Aaron Goldberg (p)
Reuben Rogers (b)
Eric Harland (ds)
Mark Turner (ts) on #1,5,9
Rel: 2010 Sunnyside


Aaron Goldbergを聴くのは久しぶりです。ちょっとマイナーだけどKlemens Marktlリーダー作「Ocean Avenue」(Fleshsound: '05)以来かな。あの作品では4ビート中心のなか、好メンバー(Matt PenmanやCriss Cheek)による三位一体ならぬ四位一体な刺激的な演奏がかっこよかったですね。その中でのAaron Goldbergのモーダルなんだけどしなやかな旋律に強いインパクトを残してくれました。個人名義以外ではOmer AvitalらとのバンドOAMというグループで活動している(最近聞かないかも・・)ようです。購入動機はやっぱりReuben Rogers&Eric Harlandがお目当て。先日記事にしたThomas Savy作品でのScott Colley&Bill Stewartが今日の白人最強リズム隊だとしたらこちらは黒人最強!!でしょうな。

出だしの1曲目はキューバのギター奏者Pablo Milanesの曲で、軽やかで爽やかなメロディです。Mark Turnerの力の抜けた(?!)爽やかなフレーズが瑞々しくて、今日みたいな晴天に迎えられた朝には気持ちよくフィットしますね。毎日の通勤時の低調な気分にはなかなか染みいります(笑)この面子の本領が発揮されるのは続く2曲目から。左手でTakeFiveのようなリズムをつくりながら右手では強く明確なタッチでモーダルなメロディをつくっていく。Reuben Rogersが同じリズムをかぶせてくるあたりからEric harlandが手数を駆使して強烈なグルーヴを生み出していく様がかっこいいの一言ですな。3曲目はOAMの"O"Omer Avitalの作品。ワルツ風なリズムの美しいバラードだけど、ここではReuben Rogersのソロが聴きどころ。所々に垣間見せるAaronとEricの静寂な中での熱いバトルもたまらんです。
美メロに酔いしれていたところに、ビックリしましたの高速IMean You。これぞAaron Goldbergと思わせる速弾きをはじめ、瞬間最大風速的な弾きまくり叩きまくりで楽しい演奏です。5曲目AaronのオリジナルでやっとMark Turnerの登場。ダークな旋律の中で軽~くモーダルな風味を滲ませていく感じがクール。けど最後4: 50くらいのところからEric Harlandが超かっこいいソロで根こそぎもっていってしまう。ほんと鳥肌モン。
Antonio Carlos Jobimの美しいバラードの#6を経て、ファンキーなStevie Wonderの"Isn't she Lovely"。途中4ビートへ流れ込むところからもうノリノリです。ここではReuben Rogersの黒っぽくこくのあるリズムとEric Harlandのはしゃぐようなキレの対称が面白いです。続く2曲はAaronのオリジナル。盛り上がった気分を鎮めるように訥々と美しい"雪の音"を挟んで、シンプルな4ビートのブルース。どこかで聴いたことのあるメロディなんだよな~。Mark Turnerがやっと熱を帯びたフレージングで火の玉と化している3人に染まったようです。ラストはTime For Love。癒しの女神(Panacea)。

曲単体の演奏も素晴らしいんですが、1枚通して聴かれることを想定しているのか、ほんと曲の流れが自然で、リスナーの気持ちの委ね方を知ってますね。Eric Harlandのスケール感ある叩きっぷりも堪能できるように録音も素晴らしくて、コンテンツ以外の要素も最高ですね。
最後にクレジットをみて気になったことが。この作品、レコーディングが07年8月、ミキシングが08年8月、マスタリングが09年8月と3年かけてつくられてきたこと。Aaron GoldbergがあまりにもLiveや他人のリーダー作にかり出されて忙しかったため時間がとれなかったのだろうか? それとも制作工程において技術者にもこだわって、スケジュールを確保してきたからかな? なんにしても時間かけすぎです(笑)


Tracks
1.Cansion por la Unidad Latino Americana
2.Shed
3.Homeland
4.I Mean You
5.The Rules
6.Luiza
7.Isn't she Lovely
8.The sound of Snow
9.Aze's Bluzes
10.A Time for Love

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