Tom Petty & The Heartbreakers / Into The Great Wide Open

2015/02/08



UKのシンガーソングライター、Sam Smithが昨年大ヒットさせた"Stay with Me"が、Tom Pettyのソロアルバム「Full Moon Fever」に収録の"I won't Back Down"と酷似していているとのことで最近騒ぎになっていましたが、訴訟には発展せずTom Petty及びJeff Lynneが作曲者クレジットに加わることで解決したようです。

そのときのTom Pettyのコメント(MTV Japan)は、様々な先達からの影響を受けつつオリジナルな音楽を一貫して制作している彼らしいものでした。(レコード会社との訴訟にも経験からウンザリしてるんでしょうけど・・)


そこで名前があらためてでてきたJeff Lynneサウンドをにわかに聞きたくなってきたところで、Jeff Lynneがプロデュース全面参加した1991年のアルバムを記事にしてみました。

Tom Pettyのアルバムはひとまとめにするとアメリカン・ロックといわれるものの、初期の3作(「Tom Petty & The Heartbreakers」(1976)、「You're Gonna Get It!」(1978)、「Damn The Torpedoes」(1979))はR&BやThe Byrds直系のフォークロック色が濃厚なサウンド、'80年代は「Hard Promice」(1981)、「Long After Dark」(1982)、「Let Me Up」(1987)などで聞かれるようによりシンプルなビートが前面にでたサウンドを軸にアルバムを制作してきています。
(なお、エレクトリックなポップと土着的なサウンドが混沌としている「Southern Accents」(1985)は異色な存在感を放っていますが・・)

その後"& The Heartbreakers"抜きのソロアルバムが商業的にも成功して、そのサウンドプロダクションをバンドに持ち込んだのが、この「Into The Great Wide Open」です。

このアルバムはこれまでの自発性の高い制作手法から、がっちり作り込まれたものになったことから、当時のバンドメンバーにはえらく不評で、特にデビューからずっとドラムスを担当していたStan Lynchは、用意されたリズムパターンに沿ってただ叩いただけみたいなことを言ったり、BeatlesやELOだのをやりたくてこのバンドにいたわけじゃない等の不満を隠さずにいたようです。結果的に彼が参加した最後のアルバムということになってしまいました。
(その後Tom Pettyとの亀裂が大きくなり、バンドを脱退という結果に。)

全12曲ありますが、どの曲もリフレインが多用されたシンプルでポップなメロディで、聞きやすいアルバムに仕上がっています。

"Learning to Fly"(#1)、"Into The Great Wide Open"(#3)をはじめとする前半5曲と、"All the Wrong Reasons"(#7)、"You and I will Meet Again"(#10)などは凝った作り方でアコースティックギターのカッティングをTom、Mike、Jeffの3人があわせて弾いて音の壁を作っているらしいです。その他、Heartbreakersらしいドライブ感のある3曲("All or Nothin'"(#6)、"Too Good to Be True"(#8)、"Makin' Some Noise"(#11))もあり、バンドのラフな感覚とのバランスをとろうとはしていますが、空間を活かしたリズムや腕利き揃いのバンドメンバーのスキルが活きているとは言えないかも知れません。

バンドメンバーには不評であるものの、"Learning to Fly"や"Into The Great Wide Open"などシンプルなメロディとリフで創られた名曲の存在感が強烈で、色褪せないアルバムだと思います。


この作り込みの反動でドラムスのStan Lynchは抜け、Rick Rubinと組んでバンドサウンドをリアルに封入させる手法をとった名作「Wild Flowers」(1994)、「She's the One」(1996)、「Echo」(1999)へ展開することになります。


"Into The Great Wide Open"
Johnny Depp, Faye Dunawayが出演しています。豪華!!




Personnel
Tom Petty : vocals, guitars, percussion
Mike Campbell : guitars, keyboards, bass, bouzouki, mandolin, hammer dulcimer
Stan Lynch : drums, percussion
Benmont Tench : pianos, accordion
Howie Epstein : backing vocals, bass

Jeff Lynne : guitars, keyboards, bass, backing vocals
Roger McGuinn : backing vocal on "All The Wrong Reasons"
Richard Tandy : OBX on "Two Gunslingers"

Tracks
1. Learning to Fly
2. Kings Highway
3. Into the Great Wide Open
4. Two Gunslingers
5. The Dark of the Sun
6. All or Nothin'
7. All the Wrong Reasons
8. Too Good to Be True
9. Out in the Cold
10. You and I will Meet Again
11. Makin' Some Noise
12. Built to Last

Rel:1991 MCA MCAD-10317
Produced by Jeff Lynne with Tom Petty and Mike Campbell


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