Fred Hersch Trio / Floating
2014/06/29
昨年あたりから長いマイブームになっているFred Herschの待望のニューアルバム。
ソロやデュオ(Julian LageやRalph Alessi)の作品が比較的多いアーティストですが、今回はトリオ編成。メンツは John Hebert、Eric McPhersonとのトリオなので『Alive at the Vanguard』(2012) と同じですね。
海にポッカリ浮かぶ”灯り”のジャケットのアートワークが素晴らしいです。Maaria Wirkkalaという写真家の "A Speech To The Sea" ( http://www.maariawirkkala.com/works/a-speech-to-the-sea/ )というテーマの作品からで、楽曲のタイトルにもなっていますね。この写真は瀬戸内海の女木島(別名鬼ヶ島)だそうです。
楽曲は 、流麗さよりMonk的なタッチとリズムの遊びがある You & The Night & The Music (#1)、このアルバム中最もストレートな美旋律になっている If Ever I Would Leave You (#9) といった超スタンダードと、Thelonious MonkのLet's Cool One (#10) 以外はFred Herschのオリジナル。HerschのアルバムにはThelonious Monkの曲が登場する確率が非常に高いですね。
オリジナルのものは タイトルトラック以外、'for~' というように誰かをモチーフにしていて、Herschのオリジナルはこういったネーミングにすることが多いんですね。
短い子守歌のような West Virginia Rose (#3) は彼のお母さん・お婆さん(Herschの故郷のOhioに近いWest Virginiaがご出身?)に、New Orleansのマーチのような独特なリズムとか陽気さやブルージーなメロディの Home Fries (#4) はNew Orleans出身のメンバーJohn Hebertに捧げてます。
哀愁というか寂しさを感じさせるバラード Far Away (#5) は2012年に早世したイスラエルのピアニストへ、ラテンタッチの Arcata (#6) はCaliforniaの町の名前のようで、ここから近いOregon・Portland出身のEsperanza Spalding へ、まさにKevin Haysが弾いていそうなクールなタッチの Autumn Haze (#8) は同業者の後輩へ、ミュージシャンとしてのリスペクトと都市や街を楽曲で表現することがテーマになっているようです。
楽曲のモチーフや背景をライナーを読んで想像するって楽しい作品ではあるものの、ソロの作品で感じられるような1音1音のピアノの響きや旋律のオンパレードに近いものを期待してしまったのが災いしてか、トリオということを差し引いてもスローな曲での美メロ度という点では、物足りなさを感じているところ。
ひょっとしたら、超スルメ盤なのかもしれませんが。
Personnel
Fred Hersch : Piano
John Hebert : Bass
Eric McPherson : Drums, Percussion
Tracks
1. You & The Night & The Music
2. Floating
3. West Virginia Rose (for Florette & Roslyn)
4. Home Fries (for John Hebert)
5. Far Away (for Shimrit)
6. Arcata (for Esperanza)
7. A Speech To The Sea (for Maaria)
8. Autumn Haze (for Kevin Hays)
9. If Ever I Would Leave You
10. Let's Cool One
Recorded at Oktaven Audio, Yonkers, NY
Rel: 2014 Palmetto Records PM2171
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こちらからもリンクさせていただきます。
返信削除ワタシ的には10年ぶりぐらいに聴いたフレッド・ハーシュでしたが、大病後の衰えも感じられずなかなか良かったです。
これで速めのテンポの曲がもう1曲ぐらい入っていればなお良かったと思うのですが、そんなこともあまりの録音の素晴らしさでどうでもよくなりました。
http://narymusic2010.blog90.fc2.com/blog-entry-3192.html
naryさん、こんにちは。
削除Jazz&Drummerにハーシュの作品って珍しいなと思ったら、10年ぶりだったんですね。このトリオ、ワンマンであることはしかたないとは思いますが、ベースのソロとかもう少し聞きたい気もします。録音は凄く上品に響いていて素晴らしくて、満足感を味わえる作品でした。
コメント、リンクありがとうございました。
おはようございます。
返信削除この作品は冒頭の1曲ゆえに,私にもハードルの高いものとなっていましたが,今はもう大丈夫です。ただ,この曲に関しては”Night and the Music"のそれの方がはるかにHerschらしく,絶対あっちの方がいいと思いますが(笑)。
それでも2曲目以降の展開には随所にHerschらしさを感じさせて,これはこれでいいと思いました。
ということで,こちらからもリンクさせて頂きます。
http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2014/08/fred-hersch-cb0.html
音楽狂さんこんにちは。
削除リンクありがとうございます。
あの演奏が1曲目だというのが、ハードルを高めているんですよね。2曲目以降はHerschだなって即感じられているだけになおさら。真ん中くらいにあればすんなり馴染んだかも知れないと感じてます。
ただ音の響きが特に素晴らしいので、格調高い作品であることは間違いないですね。
Suzuckさん、こんにちは。
返信削除コメントありがとうございます。
内面にぐぐっとくるようなソロの美しさに親しみすぎていたせいか、1曲目の訥々としたピアノトリオの演奏にはすぐには慣れなかったですが、トリオではこういったピアノの演奏もライブでは多いんでしょうね。ライブ未体験ですが・・。
それでも音の響きとか最高に綺麗なので、それだけで満足してしまってます。
まだまだ猛暑の日があって、大変なのでしばらく熱中症には気を付けたいものです。
トラバありがとうございました。