Keith JarrettやEnrico Pieranunziの「新作」と違って、今年2014年4月にレコーディングされた文字通りの新作です。
トリオ作品としてはJack DeJohnetteなどとの"Great TIme"(2006)以来。メンバーはここ数年のレギュラートリオで、楠井五月さん・小松伸之さん。辛島さんは66歳、楠井さん28歳、小松さん37歳とのことで世代的には開きはあるんですが、ここ数年ほぼこのトリオを辛島さんのベースにしていたことからもかなりの手応えを感じているトリオなんだと思います。
なんの花なのか、コントラストが素晴らしい |
楽曲は辛島さんオリジナル(#1,4,6,7)とスタンダードという構成。スタンダードは If You Could See Me Now (#2)、Stable Mates (#5)、Who Cares (#9)、A Time for Love (#10) といった超有名どころもありますが、Bobby Hutchersonの Head Start (#3)やFreddie Hubbardの Up Jumped Spring (#8) といったジャズメン・スタンダードも収録されています。
楠井さんのエレベと小松さんのグルーヴィなビートを土台に、辛島さんがキーボードを併用しつつ多彩なフレーズを織り交ぜてくるMr. J. H.(#1) や、Bobby Hutchersonのヴィブラフォンのパートをキーボードに置き換えて攻撃的なリフでドライブする Head Start (#3)、思いっきりシンセがはいってアップテンポな Riverside Nobody(#7) などは、90年代からしか辛島さんを聞いたことがないボクからしたらかなり新鮮。
もちろんライブでも演奏されているスタンダードやオリジナルは、辛島さんの本能にすり込まれたかのような芳醇な旋律と響きとドライブ感をたっぷり堪能できます。特に、エレベがフィーチャーされているバラードの Late Autumn(#4) 、タイトなリズムのワルツ Up Jumped Spring(#8) が気に入りました。ラストのタイトルトラックはピアノソロで次作の予告だそうな。ベースとデュオとかやって頂きたい気もするんですけどね。
ライブの休憩時間の時にメンバーの皆さんとお話しすることがあって、ジャズのこれからをとても憂慮されていました。ミュージシャンとお客さんの人口のバランスがあっていないと。若い人はミュージシャンには憧れてなるけど、ライブで鍛えられる機会が少なすぎて成長しにくい環境になっているとや、逆にジャズを新たに聞いてみようという人が増えない、ライブのチャージの問題(高すぎる)とか。ボクはなぜかEric Claptonからジャズをみつけたんですが、どうすれば、若いうちから「ジャズを聞く」という動機がわくんでしょうね。
2年前のこのメンバーのライブでいただいたサイン |
Personnel
Fumio Karashima (P)
Satsuki Kusui (B)
Nobuyuki Komatsu (Ds)
Tracks
1. Mr. J. H.
2. If You Could See Me Now
3. Head Start
4. Late Autumn
5. Stable Mates
6. Sun Rise
7. Riverside Nobody
8. Up Jumped Spring
9. Who Cares
10. A Time for Love (Piano Solo)
Recorded at Okinawa City Civic Theater Ashibina 3rd, 4th April, 2014
Rel: 2014 PIT INN Music PILM-0003
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