井上祐一 / Floating Moments

井上 祐一 (p)
高道 晴久 (b)
滝　幸一郎 (ds)
Rel: 2007 What'sNew Records


"今"の音でビ・バップ的なものを聴きたい時、かなりの確率でこの作品を聴いています。帯に書かれている「ネオ・ビ・バップ進化論」の看板に偽りはありません。
曲はオリジナル7曲、スタンダード3曲とオリジナルに比重をおいた作りとなってます。まさにビ・バップな"Without A Song"、"De-Dop!"、"Woody’n You"、ラストの"Midway Blue"で本領を感じさせつつ、研ぎ澄まされた美しさをたたえている"How Deep Is The Ocean"、"Lush Life"、浮遊感あるBossaな"Foam Upon The Water"など、オリジナル・スタンダードの選曲・流れともバランスが抜群です。
この作品で井上さんがリスナーに聴かせたかったのは、ライナーノートにも書かれているように複雑なリズムと精神の深いところに刻み込むようなメロディの"Insuperable Obstacles（乗り越えがたき障害）"。変拍子とダイナミックなメロディの構成なんですが、難なくボトムをキープする高道さん、シャープなキレ味が持ち味の滝さんが、ガシッと井上さんに圧をかけているのが手に取るようにわかって、ここが聴きどころというのが大いに頷けますね。(ライナーノートは吉祥寺○egのT島さんだが、この曲はあんまり評価していない様子。）
あと、このジャケ！頭の垂れ方がビル・エバンスを彷彿とします。井上さんの感覚を研ぎ澄まして鍵盤に向かう姿勢が印象的です。10年以上前、「チック・コリアの感性でバド・パウエルの世界を表現する」と言われた井上祐一さんの07年作品。そのキャッチ、ほんと言い得ていますねえ。


Tracks
1. Without A Song
2. How Deep Is The Ocean
3. Insuperable Obstacles
4. Floating Moments
5. ある晴れた日の昼下がり
6. De-Dop!
7. Foam Upon The Water
8. Woody’n You
9. Lush Life
10. Midway Blue