Tom Pettyは僕のロック体験で最高にお気に入りのアーティスト。その中でも気がつくとヘッドホンで聞いている・・僕の戻るところはココ的なアルバムを紹介しておきます。
Edward Burnsが監督主演の邦題「彼女は最高」('96)のサントラ（といっていいかな？）として制作されたアルバムです。
アメリカンロックの傑作「Wild Flowers」('94)の次の作品にあたり、「彼女は最高」の映画のストーリーをモチーフにしたからのか、Tom Pettyの反骨的な物言いやパーソナルな感情を吐露したメッセージは希薄で、彼らの歴史の中でも際立って窮屈さのないポップソング集になっている隠れた名盤だと思います。
前作からThe HeartbreakersのドラムはStan Lynchがクビになったあと空席になっていて、この作品ではセッションマンのCurt Bisqueraを基本に、後にバンドの一員になるSteve Ferroneが叩いてます。なにげにゲストが豪華な顔ぶれで、Ringo Starrが叩いて、The Beach BoysのCarl Wilsonのハーモニーが被さるHung up Overdue(#14)があったり、最近復活のご様子のFleetwood MacのLindsey Buckinghamが3曲でバックボーカルをつとめていたりと、この地味な作品にも強い光を放つようなしかけをしてます。
サウンド自体は'50～60のフォークロック・ブリティッシュロック、フォーク、サイケデリック、R&Bを完璧に昇華したHeartbreakesサウンドそのもの。甘酸っぱいフォークロックWalls(Circus)から始まり、サイケデリックなClimb That Hill(#4)、フォーキーな美しいバラードAngel Dream(#6,13)、Ringo Starrが叩いていてもおかしくないポップソングCalifornia(#10)、などなどカラフルでも統一感のあるバンドサウンドは不変です。
楽曲は他の作品と同様にほとんどがTom PettyとMike Campbellの手によるものですが、このアルバムはいつもと異なる試みが施されています。
Lucinda WilliamsのブルースロックChange The Locks(#5)やBeckのローファイな作品作りをしていたときのフォークブルースAsshole(#8)といった、後輩たちのシンガーソングライターの曲を珍しくとりあげていたり、アコギ・ピアノ・ストリングスが美しいHope on Board(#11)とラストのブルースAirportはインストナンバーだったり、推しの曲と思われるWallsやAngel Dreamでは2バージョンあったりで、彼らの作品の中では風変わりなつくりですね。
このアルバムで最高に好きな曲は、Tomが優しい語り口でさらっとシンプルなビートに乗せたあとの方のWalls(No.3)ですが、どうもシェアできるものがないので1曲目の方をご紹介しておきます。
Tracks
1.Walls (Circus)
2.Grew up Fast
3.Zero From Outer Space
4.Climb That Hill
5.Change The Locks
6.Angel Dream (No.4)
7.Hope You Never
8.Asshole
9.Supernatural Radio
10.California
11.Hope on Board
12.Walls (No.3)
13.Angel Dream (No.2)
14.Hung up Overdue
15.Airport
Personnel
Tom Petty - Guitar, Bass, Piano, Harmonica, Tambourine, Harpsichord, Timpani,Vocals
Mike Campbell - Guitar, Bass, Piano, Marxophone
Benmont Tench - Pianos, Organs, etc.
Howie Epstein - Bass, Backing Vocals
Curt Bisquera - Drums
Lindsey Buckingham - Backing Vocals on #1,4,8
Carl Wilson - Harmony Vocals on #14
Steve Ferrone - Drums on #7,10
Ringo Starr Drums on #14
etc.
Rel:1996 Warner Bros. 9 46285-2
Produced by Rick Rubin, Tom Petty and Mike Campbell
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