Brad Mehldau & Mark Guiliana MEHLIANA / Taming The Dragon

2014/03/08

ジャケット
"MEHLIANA"
Brad Mehldau (Synth,Fender Rhodes,Piano,Spoken Voice,"AHH"Vocals
Mark Guiliana (Drums,Electronics)
Recorded at Bunker Studios in Broolkyn, NY
Rel:2014 Nonesuch 7559-79579-5


昨年後半にNonesuchからBrad MehldauとMark Guiliana2人のパフォーマンスがYoutubeに公開され、特にMehldauのこれまで創ってきたサウンドからは意外な印象があったので興味深くリリースを待ってました。Brad Mehldauは2012年にフォーマットとしては完全にピアノトリオな"Ode"や"Where Do You Start"をリリースして、扱うマテリアルはロックやポップだったりするものの創り出されるものはまさにジャズだったので、このプロジェクト・作品はMehldauがよほどMark Guilianaにインスパイアされるものがあったんだろうと思ってます。(といってもGuliana自体は昨年リリースのGretchen Parlato "Live in NYC"で僕としては初めて聞いて、伝統的なジャズというよりずっとポップなコンテンポラリーなビートを創り出すアーティストという印象をもっているからだけですが・・) 
アルバムのタイトル"Taming the Dragon"が意味深で、ジャケで描かれているものやアルバム全般に漂う不穏な空気感から多分「悪魔を飼い慣らす」的な訳になる気がしますね。このタイトルトラックはMehldauのラップのような語りとシンセによるミステリアスでスペイシーな世界に引きずり込まれ、曲のラストはエレクトリックなリフとGuilianaの応戦という構図(ロックであればギターとドラムのバトル)が展開されます。この作品の演奏はMehldauのシンセがその曲の"Dragon"よろしくなうねりを先導しつつ同時にエレピが淡々としたフレーズやときにベース的な音作りで展開、Guilianaはビート的にはシンプルだけど複雑で小刻みなドラミングで対抗してるというのが土台になっているようです。#3や#4のようにMehldauのアコピを聞けたりすると紛れもなくBrad Mehldauのフレーズだなって実感。
この作品に漂うサウンドや世界って、これまでMehldauが扱ってきたような'90年台後半以降のロックやポップではあるもののよりUKロック的なものに絞った感があって、アルバム全体の退廃的でスペイシーなところは例えばPrimal Screamの「Vanishing Point」('97)、サウンドは例えばGorillaz、#9、10のようなロック的なリフは過去にMeldauもカバーしたOasisに近いものを感じてます。こうしたバックボーンって'70年生まれのMehldauが20代だったころ聞いていただろうものだったりするし、ある意味このサウンドは彼にとってはやりたかったものをやっと実現したのかもしれませんね。
個々の演奏を捕まえたジャズ的な聴き方だとこのアルバムは長すぎるけど、地下鉄の移動時や頭の中を無にしたい時に僕はあうと思って聞いてます。


ロック的なフレーズが強烈に出たJust Call Me Nige(#9)をどうぞ。



Tracks
1.Taming the Dragon
2.Luxe
3.You Can't Go Back Now
4.The Dreamer
5.Elegy for Amelia E.
6.Sleeping Giant
7.Hungry Ghost
8.Gainsbourg
9.Just Call Me Nige
10.Sassyassed Sassafrass
11.Swimming

6 件のコメント

  1. こんにちは。本作に先立って,彼らのライブ活動がアナウンスされた時,私は非常に関心があって,ブート盤でも聞いていたわけですが,そこからもここでの演奏は十分予想できましるものでした。

    本作はMehldauファンにとってはある意味「踏み絵」化するのではないかと思いますが,私はこれも一つの彼の側面だと思いますし,彼のバックグラウンドとなった音楽体験からの影響は少なからずあると思いました。ということで,TBはうまくいかないようなので,リンクを貼り付けさせて頂きます。

    http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2014/03/mehlianabrad-me.html

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    1. 音楽狂さん、こんにちは。
      音楽のジャンルは違いますがスタイルとして踏み絵的な作品を90年にだしたU2を思い出しました。一口にジャズと言っても聞き方ひとつ違うだけで、求める音楽も変わったりするので、そういった意味でもメルドーの表現がいろんな場面で聞けることは嬉しいものですね。
      リンクありがとうございました。

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  2. TB用URLが見当たらないので、こちらもコメント内リンクさせていただきます。
    ロック好きのメルドーのことなので、このような演奏をするのも自然な成り行きだったと思いますが、ジュリアナにインスパイアされた部分も相当あったんでしょうね。
    デュオでここまでやるとはさすがだなあと思いました。
    基本的にこの手の演奏は好きなのですが、集中して聴いていると途中で飽きてくるので、できればもっとコンパクトに纏めて欲しかったです。

    http://narymusic2010.blog90.fc2.com/blog-entry-2934.html

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  3. naryさん、コメントありがとうございました。
    bloggerのTBは、いただいたURLがクリックしないと表示されないので、今後リンクでいただければ幸いです。メルドーの音楽経験からロックは必然だったかも知れませんが、サウンド的にここまでやってくれるとは驚きでした。

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  4. こんばんは。
    コメントないとらばありがとうございました。m(_ _)m

    メルドーはロックミュージックにシンパシー持ってるとは思っていたのと 今でもこういう音楽かっこいいなーと、思ってるいるので とっても楽しめました。

    http://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/mehli.html

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    1. Suzuckさん、コメント不具合失礼しました。わざわざDMで頂き恐縮です。なんとか調べてご迷惑かけないようなおして行きますので。
      RadioheadとかNilvana世代の僕にはとてもシンパシーを感じる作品でした。これはこれでずっと楽しめるメルドーなので今度はアコースティックなデュオを聞いてみたいです。コメント内トラバありがとうございました。

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